新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

気高き魂、遥か北から

 

f:id:shoindy:20160923162440j:image

 

Netflixで視聴。「ストックホルムでワルツを」(原題 Monica Z) 主演 エッダ・マグナソン

 

  「ドラゴン・タトゥーの女」や「モールス」といった作品で有名なスウェーデンの映画です。実はスウェーデンは映画大国で、一般の団体や自治体が映画を作ろうとすると、映画協会から制作費用が渡されたりするほど、映画製作に意欲的だったりします(実は北欧の映画産業については少し詳しいのです。)。

 

 さて、今作は以前紹介した「ワッフル・ストリート」に続き2本目実話を基にした映画です。

 

shoindy.hatenablog.com

 

 

 「ストックホルムでワルツを」はシングルマザーで電話交換手の仕事をしている女性モニカ・ゼタールンドが、家族から理解を得られないながらも、ジャズシンガーとしての夢を諦めず歩む波乱に満ちた人生を描いた作品です。この映画の感想を伝える前に、一度モニカ・ゼタールンド本人の歌声を味わってもらいたいと思います。

 

 


Monica Zetterlund - Monicas Vals

 

 

 いや、本当に美しいです。思わず聞き入ってしまいますね。

 スウェーデン映画は、個人的に自国のミステリー小説の多さ、人気さを活かしたシリアスでまじめな映画か、逆に飛びぬけて馬鹿な映画かの両極端というイメージだったのですが、今作はそのどちらも当てはまらず、華やかで力強いモニカという女性の魅力を存分に引き立てた作品となっておりました。近年ではスウェーデン映画のハリウッド化という現象も起きているようなので、その一端なのかもしれません。

 

 さて、この映画の物語は1950年代から1960年代にかけてが舞台。物語の冒頭でいきなりニューヨークのマンハッタンで歌うことを依頼される大成功から始まります。しかしこの時代だからでしょうか、黒人の肌にはスウェーデン人の肌の白さは異様だとの理由で首にされます。黒人差別が激しかった時代であることはよく知られておりますが、白すぎるという差別が存在していたことには驚きでした(といってもこの時黒人のことを「ニグロ」と呼んでたので、もちろん黒人差別の一端も垣間見えますが)。

 そして祖国スウェーデンに帰ってきたモニカですが、彼女の名前がスウェーデン中に広がったのは彼女がスウェーデン語でジャズを歌い始めてから。当時革新的だったその試みは瞬く間にスウェーデン人の心を撃ちぬき、彼女をスターへと押し上げました。先ほどの動画、あれもスウェーデン語で歌われているものです。

 

 しかしこの映画の面白いところは彼女がスターになってからにあります。実はモニカがスウェーデン語で歌を歌い始めるのは序盤の出来事、スターになるまでにもそう時間はかかりません。物語の核はモニカの大切にする娘エヴァ=レナとの関係、モニカの尽きない夢を理解してくれない両親との確執、恋愛、成功と挫折など、まさに人生そのものがありありと描かれているのです。常に煌びやかな人生を歩んでいる人などいません。この映画は最後のシーン含め簡単にサクセスストーリーといっていいものではないのです。ですがそこがまた魅力的な点でもあるのです。

 

 生涯を強く、美しく生きた女性の物語を、甘美なジャズの音色と共に楽しんでみてはいかがでしょうか?