新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

その男は英雄なのか、それとも…

  久々の映画レビューです!

f:id:shoindy:20161011191531j:image

 

ハドソン川の奇跡」(原題 SULLY) 主演 トム・ハンクス

 

  クリント・イーストウッド監督作且つ主演がトム・ハンクスという完璧な布陣で放たれた今作。クリント・イーストウッド監督作品といえば「グラン・トリノ」や「アメリカン・スナイパー」のように心にグサリと刺さり、人間の無力さを噛み締めるような作品の印象が非常に強いですが、今作はむしろ人間一人ひとりの持つ力を表したプラスな気分になる作品でした。

  

  さて、この作品の元になったのは2009年の1月15日に実際に起きたある事件。その事件とはUSエアウェイズ1549便不時着水事故」

  この事故はニューヨークを発った飛行機の両エンジンに鳥がぶつかり、航空を断念。ハドソン川に緊急着水した事故です。全員が命を落としても不思議ではないこの着水事故による死者は0人、乗客、乗務員ともに全員生存という奇跡を起こした事故でもあります。

  f:id:shoindy:20161011195346j:image

 

  今作はそんな事故から乗客全員を生存に導いた張本人である機長チェズレイ・サレンバーガー、通称サリーが主人公の物語。世界中から注目の的の英雄となったサリーですが、彼の前に立ちはだかったのは「疑惑」  事故の調査委員会の調査により、「飛行機は引き返し、無事滑走路に到着できたはずである」という報告があがります。そんな境遇から、サリーはどう抜け出すのかを描きます。

  

  さて、そんな今作の魅力、そして見どころは2つ、1つ目はそのリアリティさです。

  この映画は事件後から始まります。そこで「全員生存したこと」や「引き返せた可能性があったこと」などこの物語のメインとなる情報はほぼ全て明かされます。そして物語中盤、ようやく事件当時が映像で描かれます。すごいのはここから。まず搭乗のシーンの時点で自分が飛行機に乗っているような感覚に陥ります。乗客の視線ですかね。とにかくスゴい。そしてサリーが155人全員無事だと知るシーン、こちらまでホッとしてしまいます。全員無事だと知っているのに関わらず、その緊張感や安堵は視聴者にまで伝播するのです。

  そして2つ目、前述もしましたがそれは人々の持つ力。

  この物語の主演はトム・ハンクスですが主人公はサリーではありませんでした。では主人公は誰なのか?それは登場する人々全員。

  事件発生時、管制塔の青年は必死で解決の糸口を探りました。彼はサリーがハドソン川に着水することを決めた時、涙しました。ハドソン川水上バスの運転手の1人は飛行機の着水時、一目散に現場へ向かい、救助活動を始めました。他の水上バスもすぐに行動に移りました。もちろん警察も、消防隊も迅速に対応しました。ニューヨークに住む彼らの行動は、まさに街に生き、街を守る存在で、その背中は大きく美しいです。事実、この事故の救助活動は24分で完了したらしいです。

  もちろん乗客それぞれにも物語が見られます。墜落するとわかり、隣の席の見ず知らずの母親に変わり赤ん坊を守ろうとする男性。着水後、混乱してボートから海に飛び込む人、我が身よりも息子を必死に探す父。全員が全員英雄的ではありませんが、それぞれがそれぞれ輝き、物語を紡ぐ1人でした。事実、最後のキャストには本人が演じている人も何人かおりました。

 

  人の力と魅力に溢れたこの作品。素晴らしかったです。