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新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

全ては認められるために

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「トースト 〜幸せになるためのレシピ〜」(原題 TOAST) 主演 フレディ・ハイモア

 

  イギリスの料理人ナイジェル・スレイターの自伝本を元にしたこの映画。タイトルでトーストとあり、また全編を通して料理がキーワードになってはいますが、実際は変わりゆく環境に翻弄される1人の少年(青年)の姿を描いた青春映画です。

  母の死をきっかけにやってきた掃除婦ポッター夫人と恋に落ちる父、ポッター夫人から父の愛を取り戻すため、主人公ナイジェルが彼女の得意分野の料理で対抗する物語となっています。

  

  まず1時間半という短めの作品であるのに関わらず30分という物語の1/3をたっぷり使って母との関係、料理が下手でもそんな母が大好きなことや、一緒に作ったミンスパイの思い出などを描いたのが素晴らしいです。そのおかげでやってきたポッター夫人を認められないナイジェルの心情がよく伝わります。また、厳しい父親も母を深く愛しているのが伝わって来るので、ナイジェルに辛く当たっている姿を見ても病に苦しむ母で頭がいっぱいなんだろうなと感じとることができます。

 

  そして中盤になりポッター夫人がやってきてからは、ポッター夫人の姿に見惚れる父が認められず、思い悩む少年が描かれますが、正直ここからは父の理不尽さに腹が立ちます。息子の反対を無視してポッター夫人と付き合い始めるのはまだ分かります。しかしナイジェルに何も言わず突然引っ越し、しかもポッター夫人も一緒にすむというのは流石に無茶苦茶過ぎるし(実話だから尚更ですよね)、引越しに限らずあらゆることに対して少しでも口答えしたらすぐキレるって…もうなんでナイジェルは父に愛されたいと固執するのか分からなくなってきます。

    さらにフィクションでないため、ポッター夫人とナイジェルの対立は一時的なものではありません。移り住んでから時間が経過し、16歳になってもナイジェルは未だポッター夫人と対立しており、むしろナイジェルは家庭科の授業で料理の技術を身につけたため、立場を奪われると考えたポッター夫人とより険悪な関係になっていきます。なので料理がすごく美味しそうなハズなのに全然美味しそうじゃないです笑

  そしてここからまた父に腹が立ちます。喧嘩する2人に情けないとか言い放っちゃうんですよね、もう、誰のせいだと思ってんだと。思わず「はぁ?」って言っちゃいましたよ笑

  しかし、ナイジェルの成長がもたらしたものはポッター夫人との関係の悪化だけではありません。彼は成長と共に、より「青春」を体現した存在になります。恋や自立、そう言った感情が強くなるのです。なので、物語終盤ナイジェルが体が、心が囚われていた鎖を解き放った時の開放感は本当に素晴らしく、美しく表現されます。

 

  料理を通して切なくも美しく描かれる青春劇、素晴らしかったです。