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新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

日本の作品だからこそ作れる「なにもない」は本当にすごい

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海街Diary」主演 綾瀬はるか 長澤まさみ 夏帆 広瀬すず

 

  「絆」をテーマに描いた今作。鎌倉に住む三姉妹が、父の死をきっかけに腹違いの妹を引き取るところから始まり、以降鎌倉の街で繰り広げられる姉妹の日常が綴られます。

 

  この映画…いえ、この映画に限らず日本の作品に見ることができるとても素晴らしい要素の中に「なにもない」があります。以前邦画のレビューをした時に、日本の笑いには静かな笑いや間が存分に活かされ、輝いているという話をしましたが「なにもない」というのはそれ以上に「なにもない」のです。

  鎌倉に引っ越し、転校し、クラブに入って。最初は固く遠慮していた姉たちへの接し方も徐々に柔らかくなって。姉たちも普通に恋愛したり、失恋したり、姉妹喧嘩したり。この映画で描かれるのはそういった毎日なのです。最後の最後まで、この映画はこのように毎日が繰り広げられるのです。

  こんなものを映画化するというのは、普通に考えたら失敗が目に見えています。つまらないと一蹴されるでしょう。しかし、この作品がそうなることはありません。 なぜか?大きな山があるわけでもない、大きな谷があるわけでもない作品なのに。それはそこから「退屈」が生まれるのではなく「心地よさ」だったり「イイカンジ」が生まれているからなのです。「〇〇が良かった!」とか「あのシーンが泣けた!」じゃなくて「なんか分かんないけどイイカンジだった」そう思える映画なのです。

  また、この作品の「イイカンジ」をより豊かにするものに「無駄」がたくさんあるということがあげられます。ただ、その時その時の出来事が描かれているのではなく、転校して来た時の後ろの子の「よろしくね」という囁きや、出先から帰って来た時の「アイス好きなのとりな、溶けちゃうから」とか、「つぶあんこしあんどっちが好きだった?」といった「無駄」をふんだんに使っています。ストーリーに全く関係のないこれらの会話、一見関係のない会話なのではなく、本当に関係ないのです。でもそれが素晴らしい、それが「なにもない」をより温かくしています。

 

  もしかしたら、この映画から美しさや「イイカンジ」を見出せるのは日本人だけなのかもしれません。確証はありませんが、日本人とは日常が違いますし、海外の作品で「海街Diary」のような作品を目にしたことがありませんから。

  しかし、日本人だけだったとしてもそうでなかったとしても、この映画から「イイカンジ」を感じ取れる僕たちは日本人に生まれたことに喜びを感じ、誇りをもっていいと思います。