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新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

心に響く優しい歌

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「アンコール!!」(原題 Song for Marion) 主演 テレンス・スタンプ

 

  老人合唱団「年金ズ」とその合唱団に通う妻マリオンを中心に繰り広げられる頑固爺さんアーサーの物語です。

  アーサー本人の物語が動き始めるのは妻マリオンの死亡がきっかけになるのですが、その妻マリオンが亡くなるまでに映画の半分を費やすという大胆な構成を見せてくれた本作。「頑固爺さんの変化」というありがちなテーマでありながら、高い共感性がある作品でもあります。

  「高い共感性」とはどういうことか?上述したとおり、「頑固爺さんが変わってゆく」物語は割とよく見るありがちなテーマです。「グラン・トリノ」や以前本ブログでも紹介した「最高の人生のはじめかた」などもそうですよね。そういった作品の頑固爺さんというのは大体は妻を亡くしてしまった孤独感から…といったのがセオリーなのですが、この作品の場合は妻マリオンが生きている時から頑固です。しかし、妻への愛は非常に強く、喧嘩しても妻の介護をしたり、家の前でマリオンに向け歌を歌った年金ズに「迷惑だ!」と怒鳴るのも、歌を聞いたマリオンが無理をして動こうとしてしまうからだったりととにかく理不尽に周りに当たり散らすのではないことが分かります。そのことは年金ズ達も分かっているのか、アーサーは嫌われ者で孤独だったりすることはなく、みんなが普通に接してくれます。関係が上手くいっていない息子とも、お互い大人なので、上手くいかないなりになんとかやっています。この極端に嫌われていたりしないというのもまたリアルですし、共感しやすいです。

  マリオンもアーサーの愛を深く感じており、夜寝る前にキスをしたりと老人でありながらのアツアツラブラブです。そんな2人の関係を映画全体の半分(45分くらい)をかけて見せられるので、マリオンを失った時のアーサーの喪失感はひしひしと伝わってきます。

 

  また、この映画の根幹である合唱も独特で映画にスパイスを加えています。合唱曲が課題曲であったり聖歌であったりすることはなく、ロックやポップスを歌うのです。ビリー・ジョエルシンディ・ローパーの曲を歌い、過激な歌詞を歌います。年金ズのメンバーも歌に合った格好をしており、非常に楽しそうに歌っています。最後の合唱までの流れも「若者だから許されるよね」的なシチュエーションをあえて持ってきている辺りに、一味違う感じを出そうという姿勢が伝わってきます。

 

  人の優しさと、愛が伝わってくるこの作品。非常に面白かったです!