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新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

自分を見失うな、家族で幸せになってみせる

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「Little Boxes」(邦題なし) 主演メラニー・リンスキー

 

  白人の妻ジーナ、黒人の夫マック、そしてその息子クラークはNYに住む一家。しかし、写真家でもあるジーナが教員になったことをきっかけに、一家はローマ(ワシントン州)という小さな白人の町に引っ越します。新しい町の生活に慣れないマックとジーナ、一方クラークはマセた女の子と友人になったことで悪い影響を受け始めます。さらに家族をじわじわと苦しめるのは人種の壁、果たして一家は再び幸せになれるのでしょうか。

 

  引っ越しにはいい面も悪い面もあります。そこに成功が待っているのか、はたまた悪い未来が訪れるのかは自分次第、そして運次第です。しかし世界には日本ではまだほぼ未体験の、しかしながらじわじわと確実にやってきている問題があります。それが人種問題。この映画で一家が最初に住んでいたのはNY。人種のるつぼ…いえ、近年では人種のサラダボウルとも呼ばれるこの街と彼らが越してきたローマでは黒人の扱いが大きく違います。と、いってもあからさまに差別されているかというとそうでもありません。作中ちょいちょい差し込まれる感じ。「目をつぶって会話すれば黒人だと分からないくらいだ、もちろんいい意味でだよ」みたいな会話が時々出てきます。でも"そうでもありません"とは言ったものの、この映画がそこまで人種差別があからさまでないかどうかなんてのは日本人の僕と人種の壁にぶつかってきた人の間には感じ方に大きな差異があるわけで、数は少なくてもそこから受けるショックを感じることは出来ないわけで…もしかしたら映画を見ていて「なんて酷い町だ!」と思われるかも知れないのです。

  しかし、映画終盤ではそんな僕でもはっきり分かるほどに人種の問題がメインに描かれます。きっかけはクラークでした。クラークが一緒に遊ぶようになったマセた女の子2人組、その内の1人の少し人種に対して危うい考え方をしている節のあるアンブロシアとクラークはだんだんと深い関係になりつつあります。まぁ、深いっつても小学校高学年〜中学生くらいの年代なんで可愛いもんですけどね、「女の子の着替えるとこ、みたい?」くらいのレベル。しかしアンブロシアがクラークと仲良くなった理由の中には子ども故の残酷かつ純粋である為の悪が混ざっていました。それにクラークは深く傷つくのです。

 

  人種という生まれながらに見た目で分かってしまう"違い"。人間なんてそもそも同じ人がいるわけ無いのに分かりやすい"違い"があったが故に生まれた"人種"という区分と"差別"という凶器。それにどう乗り越えてゆくのか、どうぶつかって行くのかをNYっぽいおしゃれさと共に描いた本作。最後の方にマックがクラークに言う「自分を見失うな」と言う言葉が真理なのですが、それに気づくのは難しいことです。しかし、その言葉の持つパワーはとても素晴らしい事だと思い今回のタイトルにも入れさせていただきました。自分を見失わないため、一人ひとりに何が出来るかを考えられる良い作品でした。