新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

その文は人を狂わせる

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「危険なプロット」(原題 Dans la maison) 主演 ファブリス・ルキーニ

 

 

  ギュスターヴ・フローベル高校で国語教師を務めるジェルマンは若者に文学の魅力を伝えたいと志していながらも、生徒の能力の低さに嘆いています。そんなある日、生徒の宿題をチェックしていると1人気になる作文を提出した生徒がいました。提出した生徒の名前はクロード・ガルシア。数学を教える体で友人ラファの家に通い、彼の家族を覗き見した姿をありありと書いた彼の作文は非常に文才に溢れており、ジェルマンは彼の文に惹かれました。しかし一方でクロードの作文はラファの家庭を中産階級と皮肉るなど、ラファの家族が見れば間違いなく不快に感じる不遜なもので、ジェルマンは彼の文章に危うさを感じます。

  やがて、クロードはラファの両親から自分たちの生活を覗き見されているのではないかと疑われるようになります。クロードは家に通える口実を得るため、ラファに高得点を取らせようとします。そこでクロードはジェルマンに数学のテストのコピーをくれるよう頼みます。クロードの作文の続きが気になってしょうがないジェルマンはテストのコピーを渡してしまいます。しかしそのおかげで、クロードは再びラファの家族の信頼を得ることに成功します。

 作文が続くにつれクロードがラファの母エステルに惹かれていることが判明します。クロードはだんだんと家族の秘密に探りを入れるようになり始めます。果たしてクロードの文章はどこまでが真実なのか…

 

  舞台劇「El chico de la última fila」を映画化した本作。クロードの書く文章を通して綴られる禁断の愛、そして彼の文章により翻弄され、狂い始める周囲の人間関係が描かれます。

  この作品の魅力はなんといっても真実とフィクションの不確定さでしょうか。クロードの書く文章を読んだジェルマンとその妻ジャンヌはその文章をどこまで信じていいのか…どこまでフィクションだと信じていいのか混乱します。作文で語られるラファのジェルマンへの仕返し(授業で恥をかいたため仕返ししようとする)などは実際に起きていることからジャンヌはほとんどが真実と考えている一方、ジェルマンは数多く「まさか、想像だよ」というセリフが差し込まれます。ジェルマンは学校関係者でクロードに作文の指導をしているというポジション的にも"想像であってほしい"という思いも強いのでしょうね。そして混乱するのはジェルマンとジャンヌだけではありません。僕たち視聴者も2人と同様にクロードの文章に翻弄されます。これは本当なのか?本当だったらヤバくないか?常にそういったドキドキ感が本作には付きまとうのです。

  そして物語はやがて終盤に差し掛かります。こう言った作品は大抵最後、波乱の起こし主(今作のクロード)が特大の爆弾をおとし、それに関わった人間(今作のジェルマン)がそれに大ダメージを受けてやっぱり最後までやり手だったみたいな終わり方をしますよね。今作もそれは同様です。しかし最後の最後、クロードに爆弾を落とされたジェルマンは他作品とは異なる終わり方を見せます。それはある意味でクロードとジェルマンの今後が気になって仕方がない終わり方でもあります。