新米の一歩目

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2人の人生は、常に芸術に踊らされていた

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「ファング一家の奇想天外な秘密」(原題 The family fang) 主演 ジェイソン・ベイトマン

 

  即興劇アーティストのケレイブとカミーユ夫妻。2人の作る作品は芸術なのかはたまたただのイタズラなのか論議を醸すものでした。というのも、2人の作品は公共の場で作り上げられ、人々に混乱を招くものなのです。例えば、家族写真でシャッターが押される直前に血糊を吐いたり、例えば、スケートリンクで花火を撒き散らしながら闊歩したり…夫婦の子どものアニーとバクスターも昔は"作品作り"に協力的で共に楽しんで人々を混乱させていましたが、やがてアニーは女優、バクスターは小説家とそれぞれの道を歩み始め、両親のふざけた生き方から離れていきました。

  そんなある日、バクスターに事故が起きます。なんとポテト大砲の取材中に放たれたポテトが耳にあたり鼓膜が破れたのです。しかし問題はそこではありません。問題は看護師が両親を呼んでしまったこと。バクスターはすぐに姉に助けを求めますが、時すでに遅し、アニーが来た頃には両親もバクスターを迎えに来ていました。久々に揃った家族、両親はここぞとばかりに子どもたちに"作品作り"に参加させようとします。しかしアニーもバクスターも作品作りには参加しませんでした。さらに追い討ちをかけるように作品作りは失敗し、落ち込んだ両親はバークシャーへ旅行に行く事にします。

  2人が旅行へ行った次の日、アニーとバクスターの元に警察がやってきました。なんと両親の車が血まみれで見つかったというのです。事件が起きた場所は誘拐殺人が多発している場所で、両親もそれに巻き込まれた可能性があるとのことでした。どうせこれも作品作りだと事件を信じないアニーと両親の無事を祈るバクスター、果たして、ファング一家に隠された秘密とは…

 

  "奇想天外な秘密"と書くと明るい作品だとかティム・バートン作品をイメージしますが、もうちょいミステリ寄りの映画です。淡々としていますが退屈になりすぎず、ほどよい緊張感で描かれます。

  完全な芸術家気質でアイデアも行動もぶっ飛んでいる両親に振り回され続けたアニーとバクスター。なんと2人は子役A,Bと呼ばれる始末です。しかしある事件をきっかけに2人は…アニーは両親に振り回される事を拒否するようになります。以来アニーもバクスターも"普通の人間"成長します。しかしそれでも選んだ職業は女優と小説家というアーティスト寄りであることが皮肉ですね。ちなみに、ケレイブとカミーユの作品には熱狂的なファンもいますので、しっかり芸術家です。

 

  上記でミステリ寄りと書いた通り、今作のメインテーマである"両親の失踪"の真実はギリギリまで明かされないです。"車に残った血痕"のみがヒントの中、アニーとバクスターは真実を追い求め、両親の過去などを漁ります。そしてオチに関しては予想通りの部分が半分、予想外の部分が半分で、さらに驚くほど突然訪れます。しかし実はどのような最終着地地点を想定しているのかは明かされません。どういったゴールを迎えるのかは完全に僕たちの想像に任されています。また、アニーが実は爆弾…母の弱点に、両親への復讐になり得るある"作品"持っているのですが、それを投下したのかも我々の判断に任されています。僕は落としたと思うんですよね…てか、最後はそれを落として終わりだと思っていました。

  想像を掻き立てられる芸術ミステリ、面白かったです。