新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

全てが、信頼できない。

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「クローズド・バル」(原題 EL BAR) 主演 ブランカスアレス

 

  

 スペインのマドリードにある小さな小さなバル。いつとの顔ぶれもいれば初めて訪れた人も。ワイワイ、ガヤガヤ…不満顔の人もいれば美女に見惚れる者もいる。そんないつもの光景が途端に悲劇の会場になった。バルを後にした男が店の前で突然射殺されたのだ。バルの外の街行く人は一斉に逃げ惑い、一瞬にして静けさが街を支配した。誰もいない。犯人らしき人物さえもいない。バルにいた男が外に出て射殺された男を介抱しようとした。すると、その男も射殺された。

 バルから出ることが出来なくなった人々、電話も通じず、混乱して目を離している間に今度は2つの遺体が消失した。流れ出た血も全て、何もなかったかのように消失した。やがて客は考えはじめる。

  

  "この中にテロリストがいて、犯人が分からない警察は店の中の人間全員を始末するつもりなんじゃないか?"

 

  その考えは、恐怖心と共に瞬く間に伝播する。それぞれがそれぞれに疑惑の目を向け始める。そして、やがて1人の男の存在によって起きた事件の原因が明らかになる。その事実を前に、バルの人間たちが取る行動とは…

 

  閉ざされた空間で展開されるパニック映画です。状況も分からず外にも出られないという異様なシチュエーションの中で、人はだんだんという狂気に飲み込まれ、善悪の区別がつかなくなってゆきます。

  バルに閉じ込められた皆が主人公な今作。一応最後まで正気を保てていた美女エレナが主人公っぽいポジションではありますが、それは単純に唯一正気だったからというだけで、やはり主人公は皆が主人公なのでしょう。それだけにバルに居合わせた客は多種多様。ホームレスっぽい男のイスラエルやギャンブル狂で閉所恐怖症のトリニ、エレナに惚れた男ナチョ。その他にも常に下着を持っていないと落ち着かない男や何故か銃を携帯している男なども登場します。

 

  この物語の展開は壮絶の一言。物語がどのように展開するのか全く分からないため、全く目が離せません。とにかく、それほど目まぐるしい。そもそも、登場人物のほとんどがたまたまバルに居合わせただけの他人、それ故、彼らは時に協力し合い、時に裏切りを何度も繰り返します。そんなことされたら当然互いの信頼度は地に落ちてゆくわけです。しかし信頼度がいかに低くても1人では到底脱することの出来ない状況であるため、協力します。そんな綱渡りの関係性を極限の精神状態で行なっているのです。そんなものに安全なんてものは皆無ですね。

  上記もしましたが、そんな中で唯一平常を保てているのがエレナ。エレナは平常を保てているがために奇妙な関係の仲間に対し非情な判断が出来ません。みているこちらからしたら、唯一の良心であるエレナには是非生き残って欲しい訳ですから、「裏切っちゃえよ!」というもどかしい気持ちでいっぱいになります。いや、実際自分があの状況に陥ったら絶対出しぬきますよ。本当。

 

  閉鎖空間で展開されるサスペンス映画、面白いです。