新米の一歩目

就職をきっかけに本当にやりたいことを見つけた新卒、映画の魅力を人に伝える仕事のために邁進!アメコミ、映画、海外ドラマ、ゲーム、散歩、いろいろ好き。

王は最後まで喜劇的だった

f:id:shoindy:20171023191628j:image

チャップリンからの贈りもの」(原題 la rançon de la gloire) 主演 ブノワ・ポールヴールド

 

  スイス、刑務所から出所したばかりの男エディは親友で真面目なオスマンの家でお世話になることになった。オスマンの家庭は貧しかった、ただでさえ低所得の家庭だったが妻が入院を余儀なくされたことで生活はより苦しくなってしまった。オスマンの幼い娘は獣医になるため大学進学を望んだが、オスマンにはそれを叶える収入すらなかった。

  1977年のクリスマス、世界は悲しみに暮れていた、その年のクリスマスはかの喜劇王チャールズ・チャップリンが死去した年だった。そしてテレビではチャップリンの偉業を讃える内容が連日放送されるようになった。

  ある日、エディはある奇抜なアイデアを思いつく。それはチャップリンの誘拐を図るというものだった。正確にはチャップリンの遺体を、だか。初めはエディの誘いに反対していたオスマンも、娘のため、妻のため、エディの計画に乗っかることを決意する。果たして、2人の犯行の行方は…

 

f:id:shoindy:20171023202155j:image

  喜劇王チャールズ・チャップリン。1889年にイギリスで生まれた彼は映画監督として、脚本家として、俳優として、その他にもプロデューサーや作曲家として映画界に次々と名作コメディを産み落として行きました。その徹底した完璧主義の元に作られた彼の作品は、社会風刺的でありながら多くの人に涙と笑いを与えてきました。

  本作「チャップリンからの贈りもの」で描かれるチャップリン誘拐事件はなんと実話を基に作られたというもの。実際の事件も今作と同じく貧困した2人の地元民が行いました。要求額は今の価格で約1億円、しかしこの2人組は結構マヌケで、チャップリン夫人に電話をかけようとしたところをあっさり逮捕、しかも棺の場所を忘れてしまい、盗難から2ヶ月の間、チャップリンの遺体は行方知れずだったそうです。

 

  さて、では映画の2人はどうなのでしょうか。結論からいうと、2人も事実に負けず劣らずのなかなかのへっぽこっぷり。そもそも誘拐を信じてもらえないところから始まり、証拠の写真を求められたら何故かパニックになって身代金を値下げするエディ。流石に隠し場所を忘れるなんてありえないミスこそないものの、電話は上手くいかないわすぐ焦るわでやっぱりおマヌケなのです。てか、隠し場所を忘れるって…事実は小説より奇なりとはよく言ったものですね。

 

  素晴らしかったのはエディのキャラ付でしょうか。刑務所に入っていたエディ、仕事も付かず真面目なオスマンチャップリン誘拐に誘うなど一見ロクでもない奴のようなキャラクター性です。しかし趣味は読書で語学も堪能、そして思いやりも持てる、いわゆる「クズ」なキャラクターではなく、印象に反して知的なキャラクターです。この単純じゃないキャラクターがあるため、エディに深みがあり、非常に愛着のあるキャラクターとなっています。

  

  2人の誘拐犯の行方は是非、その目で確認してください。