新米の一歩目

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最後の事件は悲しい事件だった

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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」(原題 MR.HOLMES) 主演 イアン・マッケラン

 

  1947年…助手のワトソンが執筆した「シャーロック・ホームズ」シリーズにより有名になったホームズは探偵業を引退し、家政婦のマンローとその息子ロジャーと共にミツバチの世話をして過ごしていた。

  ある日、ホームズは自身の最後の事件の結末が小説では歪められていた事を知る。安易な殺人事件に変えられていたのだ。そこでホームズは真実を書き留めようと決意した。しかし93歳という老齢で痴呆が進んでいるホームズは最後の事件の全容を思い出す事が出来ない。

  事件自体は30年前に起きたものだった。トーマスという男の妻アン・ケルモットの行動についてだった。二度の流産を体験したアンはやがて彼女の父が嗜んだ楽器アルモニカにのめり込むようになった。初めこそ問題なかったが、アンはアルモニカの演奏の中に亡き息子の幻影を追い求めるようになったため、トーマスはアンにアルモニカの授業を受けることを禁止した。問題はそこからだった。何故か禁止したアルモニカの授業の講師であるマダム・シルマーから受講代の領収書は届き続けた。しかもトーマスはアンがシルマーの邸宅へ赴くのを目にした。しかし殴り込んでもアンはおらず、アンもシルマーも共に互いとの関係を否定した。トーマスはホームズにこの2人の関係性を調べるように依頼したのだ。

 ホームズの記憶が戻った時、真実が紐解かれる。

 

  ホームズが最後に挑む事件とは…

  最後の事件をきっかけに探偵業を引退したホームズがその経緯を思い出すというストーリーの今作。世界的な名探偵であるホームズが実在した上でホームズの小説が世に出ているという世界観で繰り広げられます。

  ミステリーものといってもホームズは既に過去を思い出せず、飛んだり跳ねたり出来ない93歳のおじいちゃん。住んでいる田舎の農場から出ることはなく、舞台は過去と現在の入れ替わりで場面の転換を行います。過去編では所謂最後の事件の真相、ホームズの出くわした悲しい事件を、ホームズが思い出すと同時に細切れにして描きます。そして現代編では、ホームズに懐いている非常に聡明な子どもロジャーとの友情と、ホームズと息子の関係を良く思わないマンローとの関係を描きます。こちらは息子への愛ゆえに口うるさくなってしまうマンローが見事に物語のアクセントになっていますね。

  比較的静かな作品ではありますが、細かい出来事をうまくヒントに活かし、ミステリーとしての楽しみとヒューマンドラマとしての見どころ、そしてロジックでは解き明かすことの出来ない人の心の難しさを美しくまとめあげています。ホームズがわがまま爺さんとかではなく今でも知的で落ち着いた紳士なのが良いですね。