ヒーローとして、愛される隣人として
「スパイダーマン ホームカミング」(原題 Spider-Man: Homecoming) 主演 トム・ホランド
あらすじ
華々しい活躍の裏には、破壊が伴うものだ。
ニューヨーク。瓦礫に埋もれたスタークタワー周辺。そこに男たちが集まって街の復興に臨んでいる。少し前、人はエイリアンという超常的な存在を理解した、少し前、地球は自らに迫る危機を理解した……しかしエイリアンの侵略に抗った者たちがいた。彼らの名は"アベンジャーズ"、後にニューヨークの戦いと呼ばれるその争いは人々に勝利をもたらしたものの、同時に甚大な被害ももたらした。
そんな街の復興に挑む男たちのボスの名前はエイドリアン・トゥームス。彼は人を雇い、トラックを買い、街の復興に力を注ぐことで収入源を手にした。しかし彼らの前に別の集団が現れ、トゥームス達にクビを言い渡した。彼らの名は"ダメージコントロール"、よりによって街を破壊した張本人の1人であるトニー・スタークが発足したチームにより、トゥームス達の収入源は絶たれたのだ。
職を奪われたエイドリアンとその部下達、しかしエイドリアンには新たなアイデアがあった。エイリアン達のもたらした物質で武器を作り密売しよう…と。
それから8年、クイーンズに住む少年の新たな旅立ちが始まろうとしていた。少年の名前はピーター・パーカー。スパイダーマンとしてシビル・ウォーに参加した後は憧れの"スタークさん"の呼び出しがかかるのを待ちながら街の平和を守る日々。ある日、いつものように人助けをしていると、ピーターはエイドリアンらの武器が使われた犯罪に出くわした。以来、エイドリアン…ヴァルチャーらを追い詰めようと奮闘するピーター、時に失敗し、時に落ち込み、それでも前を向き続け、ヒーローも青春も全力で挑むスパイダーマンの成長の旅が始まるのだ!
概要
MCU最新作大好きだぜスパイダーマン!です。トム・ホランド君がピーターを演じる3回目のスパイダーマンリブート作品、何度か語っている気もしますがオリジンやらなんやらを取っ払った作りになっています。
今までとはココが違う!新たなスパイダーマンの物語!
今回のリブートでは結構思い切っており、上記オリジンの撤去だけじゃない目新しい要素がかなり詰まっています。例えば友人のネッドやミシェル。
ネッドは実はコミックスにもいるらしいですし、ミシェルは実は◯◯なのでオリジナルキャラクターって訳ではないのですが、ピーターの友人がハリー・オズボーンじゃないのはやはり映画としては新鮮ですよね。ちなみにいじめっ子代表フラッシュ・トンプソンももちろん登場しますが今までの金髪でスポーツマンなイメージとは大きく異なります。。
そして敵はヴァルチャーとショッカー、ヴァルチャーはMCUお得意のメカメカ大変身、ショッカーは…まぁちょい強い雑魚ポジです。ちなみに、マック・ガーガンの名前も出てきます。コミックスではスコーピオンですね。映画では敵Aみたいな。
やっぱりこの世代
もしかしたら以前お伝えしたかもしれないし、していないかもしれないのですが、僕はティーンヒーローが大好きです。ヤング・アベンジャーズ、チャンピオンズ、ランナウェイズ、カマラ、ノヴァ(サム)…僕が好きになるヒーローやヒーローチームはティーンである事が多いです。突如身につけた能力に戸惑ったり、能力を過信したり。憧れのヒーローを目指しながら成長する一方で憧れのヒーローにちょっと失望したり…そんなティーン達の活躍を見るのが大好きなんです。そして本作はまさにそんな感じ!ヒーローとして頑張ってるけど時にから回って…でも学校も大切で…こんなに忙しいのに中々認めて貰えなくて…もう最高っすよ!スタークから貰ったスーツのせいでさらに調子に乗っちゃってる感じがまた良いです。
大人の大きさを感じる作品でもある
本作を通して強く感じたのは大人を大人らしく感じるというところ。具体手にはトゥームスとスタークなんですけれど、物語の写し方が上手いのか、ホランド君の子どもっぽさが良いのか、とにかく相手が"大人"で、こちらは守られる子どもであることを強く感じます。具体的にはスタークの説教シーンですね。
一方でトゥームスから感じる大人っぽさは全体的な行動から感じます。いやー今回ヴァルチャーかっこいいんですよ、敵なのに。悔しいけど。なんていうんですかねー…例えば
工場跡地のような場所で対峙する場面。もうトゥームスの仲間は引き払ってトゥームス1人です。そんなトゥームスの元にピーターが現れるんですよ。そして動けないように片手を蜘蛛糸で捕まえる。
というシーンがあるんですけど、蜘蛛糸で片手を抑えられたトゥームスは外そうとするでもなし、脅したピーターに怒りを露わにするでもなしに、本当に、本当にめんどくさそうにピーターの相手をするんですよ。もううんざりって感じで。その演技がまた凄くて、わざとらしさが全く無いんです。マジで相手をするのがめんどくさそう。流石は元バットマン。演技すごい。
トゥームスは油断も過信もしないキャラクターとして描かれており(ピーターに見られるまではFBIやアベンジャーズにもエイリアン武器の密売はバレてなかった)ピーターとの対比としても良かったですね。
ちなみにトゥームスの正体が分かった時は妙に納得してしまいますよ。流石は僕らの不幸マグネットスパイダーマン!悩める姿はいつでも健在です。
まとめ
MCUと合流し、新たなスタートを切ったスパイダーマンの物語。今までに無い物語でありながら、それでいて
「あぁ、スパイダーマンだなぁ」
と思える素晴らしい一作となっています。今までのスパイダーマンが好きな方も、スパイダーマンを見たことが無い人でも十分に楽しめる一作です!
インフィニティⅡ 感想
あらすじ
創生種族ビルダーズに対峙すべく、スターブランド、エクス・ニヒロら4人の異分子を戦列に加え、宇宙へと旅立つアベンジャーズ。彼らを待っていたのは、想像を絶するスケールの銀河大戦だった!一方、地球では、ワカンダとアトランティスの対立が深まる中、狂えるタイタン人サノスが降臨。その尖兵たるブラックオーダーの暗躍が始まっていた……。気鋭ジョナサン・ヒックマンが贈るクラスオーバー大作第2弾、ここに登場!
本誌帯より引用
概要
以前インフィニティへ繋がるマーベルナウ!のシリーズをぶっ通しで読むと超面白い。と紹介しましたが今作はそのインフィニティの第2巻、中編に当たる作品です。
前作で迫り来る脅威"ビルダーズ"に対抗すべく宇宙へと飛び立ったアベンジャーズ。一方アイアンマンやブラックボルトらイルミナティのメンバーは地球に残り、キャプテンらには明かさぬままにインカージョンの解決に向け活動を開始しました。しかしそんな混乱の中にインカージョンよりも目に見えて迫る脅威、サノス軍が動き出したのです。
二つの重厚な物語!
今作では地球にいるヒーロー(主にイルミナティ)とサノス軍との戦いパートと宇宙へと飛び立ちシーアーやクリー、スクラルなどの宇宙人たちと協力しビルダーズに挑むパートに分かれて展開されます。正直、メイン級の大事件が同時進行で行われるという超高カロリーなストーリーにお腹いっぱいです。
ま、と、とりあえず各パートの感想を述べて行きましょう。
地球サイド
サノスの率いる6人の精鋭ブラックオーダーがそれぞれジーン・グレイ学園やサンクタム・サンクトラム(Dr.ストレンジの家)、ワカンダにアトランティスといったイルミナティに深い関わりのある箇所に攻め入ります。
「Marvel Unlimitedより引用」
ワカンダとの不和によりなすすべなく降伏したアトランティスや見事勝利を収めたワカンダなど戦果はそれぞれではありますが、その襲撃によりサノスの探し求めているものが明らかになります。そしてサノスの先手を打つために静寂の王ブラックボルトがある決断をするのです。実はカマラ・カーンがスーパーヒーローとなった事件こそがブラックボルトの決断、これにより漏れ出たインテリジェン・ミストがカマラに影響を与えることになります。ちなみに!そんなカマラちゃんの邦訳も見事決定!9月末に発売です。超楽しみ。
宇宙サイド
そして宇宙サイド、予想以上に規模の大きなストーリーになり、映画GotGでも登場したロナン・ジ・アキューザーやコミックスではスパルタクスという種族の王であるスター・ロードの父親ジェイ・ソンなども登場します。そんな事もあってか技術の遅れた野蛮な種族地球人の代表である我らがアベンジャーズはただの一般兵という扱いに。しかしそこからが凄い。まず、我々地球チームには他にはいない貴重な存在がおります。そう、エクス・ニヒロやアビス、スターブランドといった超常的存在です。そしてさらに頭角を表すのがやっぱりこの人キャプテン・アメリカ!派遣された地球人の中でも際立った能力のないキャップですが、皆さんご存知の通り彼の実力は強さじゃありません。その卓越した戦術組み立てとリーダーシップはやがて宇宙連合チームを勝利へと導くのです!カッコよすぎるぜ!
これから反撃!というところで第3巻へ持ち越しといういじらしい構成、次巻が楽しみです。
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スパイディ:ファースト・デイ 感想
あらすじ
ピーター・パーカーの高校時代にさかのぼって、彼の若き日々を覗いてみよう!
山のような宿題、女の子とのつきあい方、トップクラスの個性的なヴィランたちが巻き起こす終わりなき大騒動の数々。
我らの愛すべきスパイディはドクター・オクトパスの触手と格闘し、歩く砂浜ことサンドマンに飲み込まれる!お馴染みのキャラクターたちも意外な形で登場!
本誌帯より引用
概要
2016年の2月からマーベルが展開していたシリーズ「スパイディ」が邦訳されました!今作は上記の通り"高校時代にさかのぼった"ピーターを描いた作品。そう、"さかのぼって"いるのです。
ピーター・パーカーというと高校生のイメージが強いのですが、実はコミックスではピーターはもう20代後半の青年、自分の写真をデイリー・ビューグルに売って生活費を稼いでいたのも昔の話。今ではパーカー・インダストリーの代表取締役という立派な肩書きを持っているのです。まぁ、軽い感じは変わってないですけれどね。アニメ版は比較的高校生なピーターが描かれることが多い印象ですよね。アンドリュー・ガーフィールドのアメイジング・スパイダーマンは大学生でした。トビー・マグワイアのは…最初高校生でしたっけ?学校でフラッシュ・トンプソンと戦っていた覚えがあります。
新生!スパイダーマン入門書!
それはともかく、実は僕この作品が非常に気になっていました。高校生であることに対してもそうなんですけれど、一際目を引いたのがやっぱりタイトルロゴなんですよ!ポップなSPIDEYの文字が踊っているのがなんとも可愛らしいしスパイダーマンっぽい!ずっと読みたかったんですよ!
そして遂に読めたその感想は予想通り最高でした!まず、過去最高に誰でも読める出来栄えなのが素晴らしい、毎回オリジンが海外ドラマのオープニングのように挿入されているため非常に入り込みやすく。
「Marvel Unlimitedより引用」
そしてストーリーも高校生ならではの青くささとベッタベタなヴィランとの戦闘が1話に纏まっているコンパクトさで非常に読みやすいです。高校生活とヒーローのバランスを保つためにフラッシュからのいじめを甘んじて受け入れたり
「Marvel Unlimitedより引用」
グウェンをどうやってパーティに誘おうか練習したり
「Marvel Unlimitedより引用」
まさに青春の毎日!敵もグリーン・ゴブリンやリザード、サンドマンにヴァルチャーとまさにスパイダーマンを彩っているヴィラン達!あまりにも読みやすかったため、7話以降もアンリミテッドで読もうと思っていますよ!
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「インフィニティⅠ」感想
あらすじ
世界の崩壊を招く多重宇宙の衝突「インカージョン」。生命の創造。司る超宇宙的存在「ビルダーズ」の到来。桁外れの能力を秘めた新たなる超人「スターブランドとナイトマスク」の誕生。地球を揺るがす危機的状況の連続に翻弄されるアベンジャーズ。だが、彼らは知らなかった。真の危機はこれから訪れるのだという事をー。
『アベンジャーズ』『ニューアベンジャーズ』から連なるジョナサン・ヒックマン入魂のクロスオーバー大作、ここにスタート!
コミックス帯より引用
概要
「アベンジャーズ:アベンジャーズ・ワールド」から始まり「ニューアベンジャーズ:エブリシング・ダイ」「アベンジャーズ:ラスト・ホワイト・イベント」と続いてきたシリーズが遂に1つのクロスオーバーイベントに集約した本誌「インフィニティ」。6月末の発売と7月末の発売を勘違いしていて読み始めが遅れましたがとりあえずパート1を読了しました。ということで感想いってみましょー
難しいしあんま刺さんねーなー
これがアベンジャーズ・ワールドやエブリシング・ダイ、ラスト・ホワイト・イベントを読んでいた時の僕の正直な感想でした。AvXを持ってひと段落したシビル・ウォーであったりシークレット・インベーションなどのシリーズと比べれば"内部抗争"が無い分気持ち的に読みやすかったものの、代償として展開されたのは沢山の馴染みのないキャラクターや専門用語の数々により"置いていかれている感"でした。ビルダーズや機械言語、ホワイト・イベントにブラックスワンの語る奇怪な呪文などがその最たる例でしょう。そして一冊が頭に入らないと次の一冊も頭に入らないものです。結果どんどん置いていかれるのです。
そんな状態のまま読み始めたインフィニティ、本誌にはそれまでの3部作のシーンもちらほらと挿入されていました。結果、全然なんの話か全くわからない状態になってしまいました。そこで、僕は一度読むのをやめました。
そして本日、再び本誌に挑むことにしました。今度は前回のようには行くまい、僕はそう考え
「アベンジャーズ:アベンジャーズ・ワールド」…つまり1からぶっ通しで読むことにしました。
壮大な物語に心を奪われる
実は、アメコミはその性質上2回目は1回目より大幅に時間を短縮して読むことができます。というのも、アメコミはそれぞれのキャラクターの歴史が非常に深く、キャラクター数が非常に多いため、キャラクターの背景やエピソードを100%把握しているひとはまずいません。よってアメコミ内で分からない単語やエピソードに触れられた際は自分で調べるものとなっています。しかしまだまだ邦訳されたデータが少ないのがアメコミの現状。そこで、大抵の邦訳本には解説冊子が入っているのです。解説冊子は意外と細かいところまで触れられているため、それらに目を通さないといけない1回目は時間がかかるというわけなのです。
話は戻って1から読み直した僕。やがてインフィニティにたどり着き、読み終わりました。そうして思ったこと、それは…
なんだこれめちゃくちゃ面白いなぁ!
読んでわかりました、これはそういうものなんです。一本の大長編として捉えて読むものなのです。いや、分かってはいるつもりだったんですけど、理解したというか、感じる感想の違いに衝撃を受けすぎました。てか、他の3冊も連続して読むとめちゃくちゃ面白かったです。その完成度はすごいです。物語が集約し、敵として立ちはだかったエクス・ニヒロやアビス、驚異だったため臭い物に蓋をしている状態だったスターブランドにナイトマスクらが仲間に加わった時の熱さ!分かるというだけで1コマ1コマ、1ページ1ページが面白いのなんの!そしてやがて接近してくるビルダーズに対抗すべく地球を離れるアベンジャーズの面々、その隙を突いてきたのはそう、本誌のタイトル「インフィニティ」からも分かる奴、サノス!そしてその配下のブラック・オーダー!もう面白くないわけがないです!もう次の巻が気になって仕方がないです!最高でした!
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その絵は芸術なのか犯罪なのか
「セービング・バンクシー」(原題 SAVING BANKSY) 監督コリン・デイ
概要
社会風刺に満ちたグラフィティ・アーティストとして有名なバンクシーの作品を無断で売り、巨額の不当利得を享受するアートディーラーらに迫るドキュメンタリー。
Netflix紹介文より引用
バンクシーとは?
皆さんはバンクシーなる人物をご存知でしょうか?上記紹介文から、グラフィティ・アーティストで社会風刺をテーマにした作品が特徴的なのはお分かりでしょう、しかし、バンクシーを知るためにはその情報だけじゃあ少ないです。バンクシーとはイギリスのロンドンを中心に活動する服面芸術家。その正体は謎に包まれています。そんな彼のキャンバスは街の壁、壁、壁。そう、僕らが普段街で見かける落書き、ああいったものを手がけているアーティストなのです。
バンクシーの作品の数々
バンクシー作品を巡る主張
今作で描かれるのはそんなバンクシーを巡って繰り広げられる3視点での主張です。彼らの主張とは何かというと…
主張① 他のストリートアーティストの主張"作品は描かれた場所にあるべき。たとえ上から別の絵が描かれても"
主張② バンクシーの作品を愛した者と一部のストリートアーティストの主張"バンクシーの作品を保護し、美術館等一般の人の目に触れられる場所に展示すべき。
主張③ アートディーラーの主張"私がバンクシーの作品をPRしてやっているんだからバンクシーは感謝すべき。元々違法の作品なんだから本人の承諾なんて必要ない"
というものです。いやー主張③の汚らしさですね。しかしバンクシーの作品が違法だというのもまた事実。それ故に主張②も上手くいかなかったりします。どういうことかというと、"美術館に展示するには本人の作品である証明、署名が必要。しかし証明をする=罪を認めるということなのでバンクシーの証明は得られないのです。
まとめ
それにしても、バンクシーの作品、すごいですね。これが10分やそこらで描かれたというのだからびっくりです。みなさんは街の落書きに嫌悪感を抱きますか?それとも関心しますか?僕はどうにも関心してしまうのでこの作品は非常に楽しめました。日本の街の落書きもなかなかすごいですよね、絵やグラフィティの上手さもさることながらどうやってそこに描いたんだって場所にありますよね。
絶望も、哀しみも背負って
「ローガン」(原題 LOGAN) 主演 ヒュー・ジャックマン
あらすじ
2029年。新しいミュータントが生まれなくなって久しい世界。ある日、かつてウルヴァリンと呼ばれた男とチャールズは"新しいミュータント"である少女ローラと出会う。ウルヴァリンの遺伝子を継いだ少女ローラを守るため、最後の戦いが幕を開ける。
概要
遂に公開されました、ヒュー・ジャックマンがウルヴァリンを演じる最後の作品「ローガン」。依然紹介したコミックス「オールドマン・ローガン」の世界観を基に作られた作品です。登場するメインメンバーはローガン、90代の老人となった…しかしながら若かりし頃より髪があるチャールズ・エグゼビア。コミックスに比べてはるかに小さく…幼く…ちびっこになったX-23ことローラ・キニーです。世界観の影響もあるのか、一般的なヒーロー映画と比べ遥かにシビアな世界を描いています。
そこにあるのは、決してヒーローの姿ではない
ヒーロー映画であってヒーロー映画とは大違いな今作。描写されるのはこちらの気が休まらない程に現実的な"逃亡者たち"の姿です。"シビアな現実"…この映画の魅力はその部分にあります。
死にゆく肉体。限界の中に生きる
ヒーロー映画におけるヒーローとはその名の通り”ヒーロー”です。ピンチに駆け付け、悪を討つ。そこに至るまでに悩みや苦しみを抱えたりするけれどそれでも自分を犠牲にして、人々の平和を守るんです。その方程式があったからこそ、それとは外れた”シビル・ウォー”が衝撃作だったんですよね。
今作のヒーローたるローガンもまた、それとは”外れた”存在です。自己犠牲って点では同じかもしれません、ヒーリングファクターを失い、自身も死に向かって歩んでいるなか、それでも恩師たるエグゼビアを守ろうとしているのですから。しかしその他は本当に外れた存在。人々の希望ではないのです。まぁ、ウルヴァリンらしいっちゃあらしいのですけどね。
敵もまた、強力
今作は敵であるトランジェン研究所のメンバーはかなり高い精度でローガン達を追い詰めます。その精度の高さを分かりやすくいうと…「この映画には笑える部分はほとんどないし、安息も僅かしかない」といったレベルです。それほどまでに容赦がないです。容赦のなさはそれだけじゃあありません。作中、ローラが小さい女の子だからって容赦されることはありません、平然と出血します(ヒーリング・ファクター持ちですが)。作中、登場人物の命はあっけなく散ります。フィクションならではのしぶとさや奇跡なんてのは皆無です。しかしそんな世界だからこそ、生にしがみつくミュータントの姿は美しく、また、自分の犯した殺人の罪(それがたとえ正義であっても)の重さや絶望の苦しさがビシビシと伝わってくるのです。
まとめ
クズリは最後に何を残すのか、是非、劇場に足を運んでみてください。
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スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド 感想
概要
発売したばかりの「スーペリア・スパイダーマン」の邦訳コミックス第2弾です。前作でピーターの肉体を奪ったDr.オクトパス。しかし彼の初めの思惑とは裏腹に、ドックオクはスパイダーマンの意思を継ぎ、より優れた…スーペリアなスパイダーマンを目指すことになります。今作で描かれるのはそんなスーペリアスパイダーマンの活動と、思念となったピーターがドックオクから肉体を取り戻そうと奮闘する姿です。
スーペリア・スパイダーマンはヴィランなのか?
今作ではヴィランとヒーローの関係ではなく、2つのヒーローとしてのあり方が描かれます。スーペリアスパイダーマンは正義を執行するため、より効率的に、より非情になることが出来るヒーローです。ヴィランの活動を阻む為なら相手に重傷を与えることも良しとするスーペリアスパイダーマンのあり方は、ピーターをスパイダーマンを知る人からは渋い顔をされます。メリージェーンやアベンジャーズなどからですね。一方でニューヨーク市長となったJJJや警察からは高い評価を受けています。JJJがスパイダーマンを評価している図ってなかなかになかなかですね。そしてスーペリアスパイダーマンだから出来た非情な決断が悪を拒んでいるのもまた事実なのです。
ピーター・パーカーを知る
では、ピーターの生きてきたスパイダーマンはどうでしょうか?"親愛なる隣人"として愛されようと生きてきたスパイダーマン。人々やヒーロー仲間から信頼を得られるのはスパイダーマンでしょう。それに、上手くいっていたかは別として人々の希望の象徴になる存在は間違いなくスパイダーマンです。しかし悪を罰しきれない甘さが新たな悲劇の連鎖を生んでいたこともまた事実なのです。
ピーターの作り上げてきた信頼や絆が描かれている部分で、今作の最大の見どころ、精神世界でのドックオクvsピーターというものがあります。ピーターの残留思念に気づいたドックオクは、ピーターとしての記憶ごとピーターの思念を消し去ろうと試みます。しかし抵抗するピーター。そこでドックオクは自らも精神世界に入り、直接ピーターを打ち破ろうとするのです。しかし精神世界にも関わらず、ピーターの周りには人が集まります。
「Marvel Unlimitedより引用」
ベン叔父さん、メイおばさん、グウェン、ステーシー警部、MJ、フラッシュ、ハリー…中にはヒーローやヴィランになった人もいますが、ピーターの周りに集まったのはピーターが愛したスーパーヒーローではない人々です。あんなにピーターを嫌っていたJJJすらいます。皆が必死にドックオクにくらいつきます。これ、何気に凄いことだと思うんです。他のヒーローじゃあ、こんなにスーパーヒーローではない人々の助けを得られないと思います。ミュータント仲間だったり、スーパーヒーロー仲間は来るかも知れないですけど。他のヒーローと人々の関係は守る人と守られる人なんですよね。でもピーターは、スパイダーマンは読者にもマーベルユニバースの市民にも自分の弱いところをさらけ出して、情けない姿を見せて、それでも人々を守り、人々とともに在ろうとするんですよ。だからスパイダーマンは愛されるんです。そんなスパイダーマンの良いところがギュギュッと詰まった1ページだと思うわけです。
果たしてピーターは復活出来るのかドックオクとの戦いの行方はいかに!是非、手にとってみてください。
スーペリア・スパイダーマン:トラブル・マインド (MARVEL)
- 作者: ダン・スロット,ウンベルト・ラモス,ライアン・ステグマン,秋友克也
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2017/05/31
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