復讐と愛に目がくらんで
「息子のしたこと」(原題 Tu hijo) 主演 ホセ・コロナド
あらすじ
医者のハイメの元に急患として運び込まれてきたのは息子のマルコスだった。どうやらある夜にクラブで若者たちに襲われたようだ。ハイメはマルコスを襲った若者たちへの復讐を誓う。
概要
Netflixが送るスペイン映画「息子のしたこと」です。割と早めに判明する犯人から、サスペンス映画ではなく”復讐”がメインなのかな？と思わせといて実は最後にドカンと一発決めてくるサスペンス映画となっております。実はサスペンス要素は”犯人”ではなく、マルコスが襲われた理由にあるんですね。タイトルでそう言っているんですけどね、物語の展開的に”犯人が”サスペンス要素だと勘違いするんですよ。
復讐に駆られ、堕ちてゆく姿
理想の人生
今作の魅力は、人徳のあったハイメがどんどん堕ちてゆくその姿にあります。物語の冒頭のハイメはそれはもう充実した人生を送っています。医師として患者や同僚から尊敬を集め、OFFの時には息子とランニングを楽しむなど、正に理想の生活。家族仲がめちゃくちゃ良いシチュエーションって意外と映画では珍しいですよね。
堕ちる人生
そんなハイメの人生は、マルコスが瀕死になったことで墜落の一途を辿ることになります。初めこそ、同じクラブにいたマルコスの友人に当時の事を聞くだけだったハイメ、これは仕方ないでしょう。大切な息子を襲った犯人探しを警察だけに任せておけないと考えるのはお決まりの流れです。
しかし、そのあとが良くなかった。ハイメは犯人を知ってしまうんですね。見つける事に向いていた意識が復讐を遂げることへとシフトしてしまうのです。以降はだんだんと過激になってゆきます。アクションではなく、ヒューマン、現実の人間を描いているので、一線を越える事の影響はもちろん大きいです。そのため、過激でありながら
「行くのか？行かないのか？」
というドキドキ感にも駆られますし、意外と大胆に攻撃に出るため思わず食い入るように見てしまいます。
何故、マルコスは襲われたのか
そしてこの物語の根幹であり、サスペンス要素でもある「マルコスが襲われた理由」。それが明かされてこの物語は終焉を迎えます。マルコスは何かを目撃してしまったのか？それともマルコス自身が罪を犯したのか？もしくは何も理由などないのか？その理由は明確に明かされます。しかし見てほしいのはそのあとのハイメの表情や動き。このシーンでハイメの歩んできた復讐の道がどのようなものだったのかがはっきりと分かるようになっています。正直、かなり壮絶って感じです。ここに是非注目。
まとめ
Netflix新たに配信開始したスペイン映画「息子のしたこと」。下手な寄り道や複雑さを持たせる事なくシンプルに復讐を描いているため、しっかりとストーリーに集中できる素晴らしい出来栄えとなっています。
