新米の一歩目

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【アメコミ感想】ヴィジョン2

ヴィジョン 2

 

 

あらすじ

 ある事件で過去の記憶にまつわる感情を消去したヴィジョンは、人間性を回復するべく、シンセゾイドの「家族」を造り、ワシントン郊外で《普通》の生活を始めた。

 ヴィジョンがアベンジャーズの任務に従事する傍ら、娘のヴィヴと息子のヴィンは地元の高校に通い、妻のヴァージニアが家事を取り仕切る。往年の典型的なアメリカ人らしい彼らの生活ぶりは、一家を奇異の目で見つめていた隣人にも受け入れられていくが、因縁の宿敵グリムリーパーの襲撃を機に、歯車は狂い始める。

 娘を傷つけたグリムリーパーを殺害してしまったヴァージニアはその事実を夫にも秘密にするが、偶然、死体隠蔽現場を目撃された挙句に脅迫され、そのもつれから、ヴィヴの同級生の少年を死なせてしまう。さらに秘密を重ねる結果となったヴァージニアは変調を来し始め、残る3人の頭上にも黒い雲が広がり始める。

 そして、偶然から一連の事件の真相を知ったヴィジョンは、それでもヴァージニアに理解を示し、家族の生活を守り抜こうとする。そう、今のヴィジョンにとっては家族が全てなのだ。たとえ自らの信念を曲げようとも……。

 驚愕のストーリー展開と類を見ないテーマ性で読者を翻弄し続ける、21世紀のマーベルコミックス最高傑作、ここに完結。

 

本書より引用

 

概要

 こんちは!Shoindyです!今回紹介するのは先月ご紹介した「ヴィジョン」の続巻にあたる「ヴィジョン2」です。表紙から不穏…というか考えられるものとなっております。ゴミ箱に捨てられているヴィジョンと、刻まれる墓標の一文。シンセゾイドは魂のある存在なのか、物なのか……

 さて、前作でヴィジョンは、ヒーローであることや、シンセゾイドであることの枠を超え、一個の存在として家族を守るためにあらゆる一線を超えました。今作ではその決意を抱いたヴィジョンの元に”弟”であるヴィクター・マンチャが訪れます。

 ヴィクター・マンチャというキャラクターは今作が初登場ではなく、ドラマ化もしたコミックシリーズ「ランナウェイズ」に登場したキャラクターです。第二期からの登場ですね。ヴィクターは他のランナウェイズとは違い、親が「プライド」のメンバーではないのですが、同じくヴィランの息子という立場として登場し、メンバーになりました。その親はもちろん…ウルトロンです。

 

Runaways: Pride & Joy Marvel Select (English Edition)

 

 

虚構の平穏と真実の愛

 ヴィクターは叔父として歓迎され、見事に家族に馴染みます。未だ不安定なヴァージニアの話を聞き、ヴィンの思春期な相談に乗る(ここのヴィンはもう完全に思春期の男の子ですね)、そして、ヴィヴと共に亡きクラスメイトのお墓参り。こうして、今となっては周りの誰からも歓迎されなくなったシンセゾイドの一家に温かさが訪れるのです。

 しかしその平穏もまた、虚構に終わります。ヴィクターはそもそもアベンジャーズの刺客だったのです。いずれ世界を征服するようプログラムされていたヴィクターは正義であることに飢えていました(この話はランナウェイズ本編での出来事)。

 そのため、アベンジャーズからヴィジョン家の様子見をするよう依頼された時にすぐに飛びつきました。しかし、ヴィクターの真意がヴィンにバレてしまい、ヴィンを止めようとしたヴィクターはヴィンを殺害してしまいます。

 

 ヴィンを喪ったヴィジョンは、再び、一線を超える事になります。A.I.としての思考と、家族を愛する存在としての思考、それが交じり合い、新たな悲劇を生み出します…

 流石にどうなったまでかはここでは述べませんが、そこにはヴィジョンからの一方的な愛だけではない、家族のプログラムを超えた愛と悲劇が展開されます、物悲しくも美しい崩れ行く世界が待っていました。

 

まとめ

 2ヵ月に渡り展開されたシリーズ「ヴィジョン」独特なタッチとヒーローのルールを破るストーリー展開。そしてロボット(シンセゾイド)は人間には成り得ないのか、という長年語られている主題を新たな切り口で見事に展開されました。短くドラマチックなのでアメコミ初めてでも楽しめますよ!!

 

 

ヴィジョン 2

ヴィジョン 2

  • 作者:トム・キング
  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)