【アメコミ感想】シビル・ウォーⅡ
あらすじ
インヒューマンズが放った神秘の霧「テリジェン・ミスト」により、また新たなインヒューマンが誕生した。
その少年ユリシーズが開花されたのは未来を幻視する力。
あらゆる犯罪、脅威を未然に防ぎ得るその力を巡って、ヒーローコミュニティは紛糾する。
少年の力を有効活用し、より良き社会を目指す者。善悪の判断を他者に委ねる行為の危険性を訴える者。
せめぎ合う両者の主張は、少年が予知したある事件への対処策をきっかけに、ヒーロー同士の対立を生む。第二のシビル・ウォーを。
話題作『シビル・ウォー』第二弾、ついに登場!
君はどちらに付く?
本書より引用
ネタバレあり
概要
こんちは!Shoindyです!今回紹介するのはマーベル界…いえ、アメコミ界に衝撃を与えたあの問題作シビル・ウォーの続編、「シビル・ウォーⅡ」です。シビル・ウォーにて争われた答えのない問題は多くの犠牲を亀裂を生みました。そして今回の問題もまた、簡単に答えを出してしまう訳にはいかない難題となっており、そしてやはり多くの犠牲を生み出します。
そもそもシビル・ウォーって?
本題であるシビル・ウォーⅡの話をする前に、その10年間に展開されたコミックイベント「シビル・ウォー」についてお話しましょう。
MCUにて映画化もされた「シビル・ウォー」は、コミック、映画と共に「ヒーロー登録法案」の是非について問われてきました。ここではコミックをメインに話を進めましょう。若手ヒーローチームがヒーロー活動をテレビショーを行っていた最中、戦闘中に大規模な爆発を引き起こしてしまいます。今でいうYoutuberですね。不幸な事に、爆発した戦闘エリアの近くには幼稚園があり、多くの幼い命が失われてしまいます。
それをきっかけに、アイアンマン主導で進められたのが「超人登録法」。ヒーローを政府の機関に組み込み、正体や身分を登録し、管理しようという法案です。そしてキャプテン・アメリカはそれに反対し(スーパーパワーを用いて暴れまわるヴィランに対し政府のGoサインが無いと動けなくなることの危険性があったため)、彼と彼について行ったヒーローは政府に反対する犯罪者としてその身を追われることになりました。
この争いにおいて、夫婦関係の崩壊や、死亡、歴史の改変に手を出す蜘蛛など多くの余波が引き起こされました。ヒーロー同士の関係が修復されたのはかなり後になりました。
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未来に犯罪を起こす者は犯罪者なのか?
さて、話をシビル・ウォーⅡに戻しましょう。今回論争になるのは見出しにもある通り「未来予知による犯罪の防止について」。Ms.マーベル(カマラ)などが誕生したテリジェン・ミストの影響で誕生したインヒューマン「ユリシーズ」の能力が上記の「未来を予知する能力」であり、さらにその予知を周囲の人間も体感できるというものでした。その予知はかなり正確で、超宇宙的存在の襲来を事前に予知し、ヒーローが反撃ではなく、準備して立ち向かえる状況を作り上げました。
正直、この主題には目新しさがありません、本書解説書にはマイノリティ・リポートが例に挙げられていましたし、たしかMCU内に登場したトリスケリオンの性能もそんな感じでしたね。
この論争の重要な点はその予知の正確さと、未来という概念の扱い方が重要になってきます。予知は100%正確なのか?その予知を知ったうえで回避する動きをすれば回避可能なのか?その点がはっきりしないと論争にもならないように思えます。ちなみに、ユリシーズの予知は100%ではなく、あくまで超正確なプロファイリングです。では争いにならないのでは?と思いますが、その事実をスタークが導きだしたのは物語の中盤で、引き返せない位置にありました。
悲劇が起き、争いが激化する
シビル・ウォーⅡではアイアンマンとキャプテン・マーベル(キャロル)が対立することになります。未来主義者であるスタークは、未来主義者であるがゆえに予知を信じすぎる事の危険性を感じ、キャロルのやり方に反対していました。ちなみに今回キャップとは争いません。スターク曰く「君と倫理を論じても、喧嘩別れが関の山だ」とのこと。よくわかってらっしゃる(笑)
そして、ついに悲劇が起きます。事の発端はユリシーズの予知によるサノスの襲来。キャロルはすぐさま戦力をあつめ、サノスに挑みます。しかし、そこで予言に無いことが起きてしまうのです。それは…ウォーマシンの死。それは、キャロルの恋人の死であり、スタークの親友の死を意味していました。これを機にスタークはキャロルに激怒。さらに畳みかけるようにユリシーズによるハルク暴走の予言がなされます。
ハルクの予言は第二の悲劇を呼び起こしました。それは…バナーの死。ヒーロー達は予言を元にバナーの元に集まりました。1年以上ハルク化していないことを主張するバナーの処遇を争うスタークとキャロルの目の前で、バナーの脳天に弓矢が突き刺さります。殺害したのはクリント・バートン…ホークアイでした。
クリントはかつて、ハルク化した時に自信を殺害するようバナーに頼まれていました。クリントはバナーの瞳に緑の閃光が走ったのを感じ、彼に弓を放ったのでした。
多くの戦友を失い、親友を失ったスタークとキャロルの緊張状態は最高潮に高まっていました。そして、やがて多くのヒーローを巻き込んだ大規模な戦闘へと発展します。
まとめ
この後にいくつか展開があるものの、大まかな流れは上述したものとなっています。
解説書には”営業的(MCUの影響によるインヒューマンメインのストーリーである事)”や第一弾程の成功作ではないといった評価が下されており、確かにおおむねその通りだとは思いますが、そこまで言わなくてもいいかな、とは思いました。
シークレット・ウォーズ後の今時なアース616が楽しめる面白さ(マイルスがいたりする)や、今後起きるチャンピオンズの結成やシークレット・エンパイアなどの予告をユリシーズの予知にしたのはアイデア的にも面白かったです。また、ちょっとMCU感のある掛け合いなども目新しかったです。しかしながら、主題である戦争に関しては争いのを成しておらず(ユリシーズの予知がただのプロファイリングの時点で破綻している)、心からの争いではなく、キャロルが引くに引けなくなって暴走しているように感じました。さらに、キャロルサイドについたガーディアンズなどが心から意見をもってキャロル側についている訳では無いので、スタークの結末を考えると、1の時ほど尾も引かなそうであり、あっさり気味だったように思えます。なので、あくまでこの論争の答えを読むには微妙ですが、コミックを読むには非常に楽しめると思いました。
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